いつか、きっと

夜更けに
小さなラジカセから流れる癒しの調べ
老いたブラームスの人生への諦観や若さへの憧憬のようなもの
極めて地味でありそれだからこそむしろ心に沁みてくるような
そんな美しい音楽
心を見透かされるように透明なグールドの演奏も捨て難い
でも今夜はルプーの静かであたたかな演奏にした

遠い記憶が甦って来る
カウンターに座ってグランドピアノの演奏に耳を傾けていた
ジャズでなくクラシックばかり彼女は弾いた
その中にブラームスのIntermezzoが2曲含まれていた
非凡な選曲のセンスに強く惹かれたものだ
決して美貌の人ではないが
鍵盤に向かう横顔が凛としてとても美しかった
彼女はその後
同じ店でバーテンをしていた僕の同級生と縁あって結ばれることになる

数年後 M市の別の店で彼女のピアノに再会した
演奏の合間に声をかけると気さくにカウンターの隣に座ってくれた
「あの時の君のブラームスをよく覚えている」
そう告げると彼女は恥ずかしそうににっこり微笑んだ
時おり彼女のピアノを聴きたくて店を訪れた
時には気の利いた飲み物(彼女は酒は飲めなかったのでノンアルコール)をおごったり
時には彼女に曲をリクエストしたりした

本音はただ彼女に会いたかったのだ

あの頃自分は確かに彼女に惹かれていた
そしてかすかな嫉妬心すら抱いた
彼女と結ばれた旧友に対するかすかだが確かな嫉妬の感情
そんな浅はかな感情に気づいてから
自分は彼女のもとに二度と足を運ばなかった

遠い記憶

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by hishiamazon-na6 | 2006-12-03 00:10 | 個人的なこと
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